-nakota吉田-

機能性を重視するとスポーツウェアっぽくなるし、見た目を重視すると機能性が落ちる。
かといって最新テクノロジーで両者を解決するとロマンが無くなる。
我ながら小難しくややこしい人間になってしまったと思う。
まるでインディーズバンドが夜の歌番組に出るようになった瞬間に応援しなくなるような感覚だ。

ストレッチ素材の快適性は素晴らしいが、
やはり昔ながらの60/40クロスを使いボトムスを作りたくなった。
もちろん動きやすさや機能性を重視して。

今更ながら僕がこの素材を使うと決めたのは「経年変化」だ。
nakota colunalineのコンセプトの一つに
「新品が最高の状態ではないもの」がある。

日常で目にするほとんどの商品は店頭にある時が一番輝いて見えるように作られている。
つまり新品の状態が一番キレイでそこからは古びていく。

60/40クロスの経年変化、
このボトムスを履いて半年～数年後のこなれ感は筆舌に尽くしがたい。
だからチェックシャツやシャンブレーシャツなどとの相性も良いし、
アウトドアスタイルでもＴシャツでもいける。

何度もパターンを作り直して、
すっきりとしたシルエットと動きやすさを両立するように進めた。
履いてみたらわかるが製品自体の軽さと、ストレッチが無い中での動きやすさは抜群だ。
試作品で六甲山を登ったが快適だった。素材の強度と耐久性はもちろんお墨付き。

色々とスマホポケットを付けたり、形状も変えようかと考えたが、
スマホのサイズ感も変わっていくし、
あくまで「普遍的」なパンツとして永く愛されるよう、
形状はシンプルにまとめた。
その分この素材を使ったことや
岡山で縫われている背景を加味してもお手頃な値段に仕上がったと思う。

ちなみにバックルだけは少し”ダサい”バックルを選んだ。というとメーカーに失礼だが、
”push”と書いてたり、グレーに色分けされているのが
なぜかレトロに見えて変に心をくすぐられたのだ。

街でもアウトドアシーンでもと書くと凄く安っぽいコピーになってしまうが、
あらゆるフィールドで活躍してくれるだろう。
きっと永く使って頂けるボトムスになるはずだ。